2週間半かかりましたが、ようやく読み終えました✨
人生を生きる処世術とその思考には、
「引き算の美学」のような何かを感じました。
1700年代後半から1800年代に、ペシミズム思想を牽引したドイツの哲学者、アルトゥール・ショーペンハウアーの名随筆「処世術箴言」の全訳です。
人間は悟れないからこそ、それなら悟れないままに、幸福を求める姿はそのままに救済案を考えよう、といった理論の中には、様々な思想が散りばめられていました。
著作内では、一つの物事が幸福なものかどうかは、その人の個性(感受性)によって決まる、と説き、更に突飛な享楽は限定的(持続性が不安定)なものだから、享楽ベースで幸福を推し量るのはかえって悲しい思いもするのでやめた方が良く、「快楽を求めず、同時に苦痛なきを求める」という、心情にあまり抑揚をつけないようコントロールする事が1番、と語られていました。
更に、そのためには他者とはあまり近すぎる距離感を取らないこと(何故なら互いの意志の衝突が苦痛を招くから)、そして、孤独を「本当の自由」と捉え、愛せるだけの精神的成熟が必要である、などとも説かれていました。
著作では、人の人生(現実)は、苦痛に満ちているから、幸福は幻みたいなものなのだ、だから、人生の総決算をするときに、享楽(喜び)で勘定するのではなく、逃れた災厄で勘定するのが良い、としています。
そして、幸福に生きる、ということは、あまり不幸でなく、我慢のなる程度に生きる、という事だと述べています。
なるほどなぁと深く納得する節もあれば、
「でも、それだと感情の抑揚によってこそもたらされる、自分の血潮と魂の躍動を感じるような、鮮烈な『これぞ生きてる感』みたいなものが感じられず、寂しい、モノクロな人生観にならないかしら」と疑問を抱く節も、同等にありました。
何にせよ読み応えはあり、特に後半の51項目の訓話には多角的な処世術が散りばめられており、バイブルのように、人生最悪のピンチのときには音読したくなりそうな箇所も沢山!ありました。
また追って、そんな訓話の感想を交えながら、
ブログにつれづれではありますが、読書感想日記を綴りたいと思います
そして、最近の1枚です。